IMCCD 高山さんからの手紙 #25

野田塾では、「未来にはばたく人材の育成をめざして」という指導理念の下、塾生の皆さんに広い視野を持っていただくために、地雷処理専門家の高山良二さんの活動を支援しています。

 

工夫する力。 

 野田塾のみなさん、こんにちは。先回は、「認定NPO法人国際地雷処理・地域復興支援の会(IMCCD)」を設立して6年目に入り活動しているところまで書きました。以前の団体での活動は2002年からですから、カンボジアに渡ってもう15年が経ったわけです。今の活動に結びつく原点が「カンボジアPKOで十分な仕事ができなかった悔しさ」だったのです。

 2002年5月9日に自衛隊を55才で定年退官して、すぐにプノンペンに行き下宿をして活動しました。最初は、不発弾処理活動をやるために、カンボジア政府機関のCMAC(カンボジア地雷対策センター)と活動ができる様々な条件を具体化するための調整に悪戦苦闘しました。

volunteer04 私の英語能力は英検3級程度。英検3級程度では殆ど役に立ちません。日本の皆さんは日本では英語が喋れたりしますが、海外では例えば英検2級程度の能力があっても、殆ど役に立ちません。それは「日本語英語」だからだと思います。英語圏の方との会話の経験が少なく、実用的な英会話環境に恵まれていないことから、「慣れていない」のです。私は今も喋れませんが、最初はもっと酷いものでした。カンボジアの方から「How are you?」と声を掛けられても、「あれ??何だったかなあ??」と、反応しないのです。その方が立ち去ってから、よく思い出してみると、「お元気ですか?」の挨拶言葉だったことに後で気が付きました。そんなことばかりの日常でした。

 「How are you?」に反応しない英検3級の私の能力でした。カンボジア語も全く話せません。英語もカンボジア語も話せない高山さんがどうして仕事ができたのですか?とよく聞かれます。私は「工夫」しかありませんと答えます。

 今、日本人は「便利になりすぎた」ことで、「工夫する力」が極端になくなっていると思います。目的意識も無いか薄い状態です。決められたことを決められた通りにするのは得意ですが、少し応用的になるともうできません。難しいことに遭遇すると、「不可能です」とか「無理です」とか「やったことがありません」とか言い訳をします。「目的意識」や「本質的な物事の見方」をして、何とか目的や本質に近づこうと「工夫」すれば、必ず打開できます。何もしないですぐに「無理、無理」と逃げてしまうのでは、いい結果やいい仕事はできないでしょう。 私の嫌いな言葉は、「無理、無理」や「忙しい、忙しい」という言葉です。「何とかしましょう」という工夫をして問題点を打開する姿勢。また、いくら忙しくても意地でも「忙しい」と言わないで、「暇です」と言ってもらいたいのです。

 「無理、無理」という人や、「忙しい、忙しい」という人にいい仕事ができたことはないと思っています。カンボジアPKOの時もそうでしたが、今の地雷処理活動や地域復興支援活動においても、決まっていないことの方が多いので、「目的」や「本質」から目を逸らさないでひたすら工夫しながら対応して、前に進むことを考えています。そしてそれには多くの時間も必要です。「辛抱する」ことも必要です。この活動をして失敗も沢山ありました。また成果が出てきたこともあります。「辛抱しながら」「工夫しながら」目的や本質から目を背けなければ、成果は見えてくると信じています。是非、皆さんも日常生活にそれらを取り入れて、皆さん自身の発展や成功に繋げて下さることを心よりお祈りいたします。次回も続編をお届けしたいと思います。では、また。

高山良二さんのプロフィール

1947年生まれ、愛媛県出身。
NPO法人/国際地雷処理・地域復興支援の会(IMCCD)理事長兼現地代表の地雷処理専門家。自衛官として36年間勤務し、その間、施設処理部隊(地雷等に携わる部隊)で訓練する。自衛官として「カンボジアPKO」に参加。定年退官後に「日本地雷処理を支援する会(JMAS)」に参加。2010年にJMASを退官し、その後IMCCDを設立。現在、カンボジア政府機関のCMACと地雷処理の共同事業をおこなっている。

IMCCDの高山良二さん
IMCCDのロゴ

IMCCDとは、 カンボジア政府機関のCMAC(カンボジア地雷対策センター)と共同して、住民による地雷処理活動および自立可能な地域の復興を支援し、相互の友好交流を促進することで平和構築の理念を内外に広げることを目的とした団体です。 活動を支援する野田塾には、カンボジアのタサエンコミューンで活躍する、地雷処理専門家の高山良二さんから、近況報告をいただいております。