第21回|小学生夏休み|読書感想文コンクール
第21回 小学生夏休み読書感想文コンクール 最優秀作品が決定!
毎年夏休みに合わせて開催されている「小学生読書感想文コンクール」は、今年で21回目を迎えました。
野田塾各校では7月に「読書感想文書き方教室」を行い、読書感想文を書くときのポイントを確認しました。これがコンクールの選考基準にもなっています。各学年の最優秀作品についての選評を以下に紹介いたします。
4年生の部最優秀賞には、稲沢市の安井さんの「鐡志との約束」という作品が選ばれました。本を読んだことをきっかけに「戦争」との向き合い方を見直し、自分に何ができるかを考え、それを実行しようとしています。真っ直ぐな思いが伝わる、素晴らしい作品でした。
5年生の部最優秀賞には、名古屋市の岩田さんの「本気で野球と向きあう」という作品が選ばれました。野球での怪我により沈んでいた気持ちが、大谷さんの生き方を学んだことで前向きになったことが分かります。今後も事あるごとに、この1冊が背中を押してくれるはずです。
6年生の部最優秀賞には、日進市の大山さんの「生きているのはこの本のおかげ」という作品が選ばれました。いじめの悪さ・命の尊さを学んだことによる「人としての成長」が感じられます。「多くの人にこの本を読んでほしい」というメッセージがよく伝わる作品でした。
今回の読書感想文コンクールが、生徒の皆さんの成長するきっかけになっていればうれしく思います。たくさんのご応募、本当にありがとうございました。
最優秀賞を受賞されたみなさんの作品
4年生の部 稲沢市 安井さん 「鐡志との約束」
本を読み終えたとき、がまんしていた涙がとまりませんでした。どれだけ泣いたか分からないくらい、いつまでも涙を流しました。「原子爆弾」なんて知りませんでした。「放射能」なんて知りませんでした。「防火水そうに飛びこんで人が死んだ」なんて知りませんでした。初めて知ることがショックなことばかりで、次々に涙があふれたのだと思います。
原爆を体験した小学生鐡志が見た広島の町は、地獄絵のようだったようです。おばけのように皮ふがたれさがる姿。本の挿し絵を見たときに、私は目をそらしてしまいました。私は、戦争は怖いので、なるべく話を聞かないように、写真を見ないように過ごしてきました。昨年、広島に行きましたが、怖くて平和記念資料館に入れませんでした。でも、それは間ちがっていたと気付きました。鐡志はつらい体験をしたのに、今を生きる小学生に戦争を伝えてくれました。戦争について、みんなに知ってほしいと考えて、本を書いてくれたのだと思います。だから、私たちが戦争から目を背けるのではなく、深いところや意味を知らなければいけないと思います。
友達とのけんかは、人と人のけんか。「ごめんね」の一言で、また仲良く遊べます。でも、戦争は、国と国のけんか。ただ、人が死ぬだけだと思います。戦争で死んでしまう子どもがいなくなってほしいと願って、今年の夏は、戦争展に行って、鐡志の小学生時代を学びたいと思います。怖いからと現実に起きたことから目をそらすのではなく、戦争と向き合ってみようと決めました。
鐡志が楽しめなかった夏休み。涙を流して、かわいそうで終わるのではなく、平和な日本を生きる私に何ができるか考える意味ある夏休みを過ごすことを鐡志に約束したいです。
5年生の部 名古屋市 岩田さん 「本気で野球と向きあう」
僕は野球チームに入っています。野球が大好きですが、頑張りすぎて何度もケガをしています。ケガをすると、練習に参加できず、下手になります。その間にもチームメイトは上達していきます。ケガを繰り返すうち「どうせぼくなんて」と思うようになりました。
大谷翔平さんは、いつもすごい成績を残しています。ニュースに出てくる大谷さんは、ホームランを打ったり、ピッチャーとしてマウンドに立っています。あんなすごい人にぼくの気持ちなんてわからないんだろうなぁと思っていました。
でも、この本を読んで大谷さんにも気持ちが弱くなったり、悔しい思いをすることがあると知りました。そういうときは反省し、次の目標を立てて、さらに努力をするそうです。「イラッと来たら負け」だとも。練習や試合をくり返すとき、気持ちのコントロールが必要だと学びました。
印象に残っている場面があります。大谷さんは高校時代、球速150キロをめざしていましたが、花巻東高校の監督に「160キロをめざしてみないか」と言われ、160キロをめざすことにしました。また、卒業後の進路をプロ野球か大リーグか迫られたとき、栗山監督が提示した斬新なプランが「二刀流」でした。このプランに心動かされた大谷さんはプロ野球に行きました。監督から助言や提案をされたとき「そんなことは無理だ」と思わず、どんどん挑戦していく大谷さんの姿におどろきました。ぼくならきっと「無理です」と弱音を吐くと思います。
努力をやめず、ひたむきに頑張りたい。まずはしっかり今のケガを治したい。体の負担にならない練習をして、強くなりたいと思います。そして、弱い気持ちになったら、何度もこの本を読もうと思います。
6年生の部 日進市 大山さん 「生きているのはこの本のおかげ」
私は、「天国までの四十九日間」という本を読んでとても「感動」しました。この本はいじめの悪さと命の尊さが分かる本です。
この本の主人公、安音が、いじめにあい自殺をし、四十九日までに天国か地獄を決めるという話ですが、私はこの本を読んで心が救われました。なぜなら私も同じ目にあっているからです。無視をされたり、かげ口をされたり、私の心の中では「もうやだ」「死にたい」と思っていました。しかしお母さんにもお父さんも兄弟にも心配をかけると思い頼ることが出来ませんでした。その時この本に出会いました。正直、私一人の命が無くなっても誰も困らないと思いました。死んだ後のことを想像してみました。きっといじめっ子は私たちのせいで死んだと思い後悔するだろうと。でもこの本は、死んだ後は、いじめの標的が変わっただけでした。主人公のお母さんもお父さんも「気づいてあげられなくて」と言っている場面があり、私が死んだらこんなにも悲しんでくれる人がいるんだと思い、涙が止まりませんでした。そして一番心を救われた言葉が主人公のクラスメイトの洋人の言葉です。「復讐したいって言うけど、それは別に、生きたって果たせることだろ。折原がいじめに屈せず、真っ直ぐに生きていっていつか立派なヤツに成長して幸せになったらそれは、最高の復讐になっただろうな」という言葉です。私は、この言葉に導かれ勇気を出し親にいじめのことを相談しいじめが無くなりました。
私と同じようにいじめを受けている子がたくさんいます。この本を読んで、いじめの悪さと命の尊さを学んでほしいと思います。二度私と同じ目にあわないようにこの本を伝えたいです。