高山さんからの手紙
#047

IMCCD 高山さんからの手紙 #047

簡単に手に入らないからこそ、大切にしたいこと

カンボジアで新首相が誕生!

 みなさん、こんにちは。日本は過ごしやすい秋がやってきたことでしょう。
 さて、カンボジアでは今年の八月に新しい首相が誕生しました。遡ること1992・93年。国際的なプロジェクトとして、カンボジアで国連平和維持活動(PKO)が行われました。国連の要請もあり、日本も国際貢献として、自衛隊や警察、文民がこのPKOに初参加。私も自衛官の一人として現地に赴任し、約半年間活動しました。当時PKOの下、新生カンボジアを再建するために行われたのが、第一回目の総選挙です。今年行われた7回目の総選挙では、人民党が勝利。こうして新しい首相が選ばれました。

 

一朝一夕では築けない信頼

 もう一つ、PKOに関わる今夏のトピックスがあります。私たち「認定NPO法人国際地雷処理・地域復興支援の会(IMCCD)」と政府機関「カンボジア地雷対策センター(CMAC)」のラタナ長官との間で行われた、第13回目の地雷処理活動の共同事業協定書調印式です。実はCMACも、PKO参加各国の協力の下で設立されました。私は長年、、彼らとともに活動してきましたが、楽しいこと、苦しいこと、悲しいこと、辛いことを共にしてきたことが、今の信頼関係に繋がっていると思います。調印式では、ラタナ長官から「これまで外国人が誰も足を踏み入れなかったタイ国境の地域に入って、地域住民と共に見事に復興を成し遂げてくれた」とお礼の言葉をいただくことができました。人と人、国と国の信頼関係は、一朝一夕では成し遂げられません。長い年月をかける必要があるのです。

 

 PKOから30年以上が経った今、カンボジアは長い内戦状態を克服し、平和を取り戻したと言えるでしょう。一方で、地雷、不発弾処理が完成したのは25州中、18州。残りあと7州は、まだまだ活動を続けていかなくてはなりません。戦争の傷痕を元どおりにするのには、長い時間を要します。一度戦争をしてしまえば、簡単には平和な日々は取り戻せず、今のカンボジアやウクライナのようなとんでもない悲しみの連鎖を作ってしまうのです。私はこれからも、地雷・不発弾処理活動を続けながら、そのことを国際社会に訴え続けていきたいと思います。